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JALが飛んだ

JALが会社更生法の適用を申請:識者はこうみる


去る時はあっさりでしたねー。

航空会社って長期の燃料仕入の債権だったり、航空機のリース債権とかがあるので、事業会社からのCDSのプロテクション買い(=保険を買うのと一緒)もそれなりにあるとは思うんですが、いかほどでしょうね。調べた限りでは情報が無かったので分かりません。

さて、今回はロイターの記事をちょちょいとバラして説明したいと思います。


クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)でJALはインデックスの構成銘柄から外れている。クレジット市場はJALの破たんを個別の要因として受け止めるのではないか。影響は限定的だろう。


こいつはちょいと嘘。鷹鳩さんがtwitterに書かれていた通り、昔のindexには入っとるんですわ。

ぱっと思いついたのはiTraxx Japan Hivol Series6, 鷹鳩さんからご指摘頂いたのが Series2,3あたり。Series2なんて、残り2ヶ月で終わりだったのにね。既に飛んだアイフルと並び、フルボッコですね。ええ。ちなみに、インデックスの構成銘柄は、markitのページのiTraxx Japanに掲載されています

想定元本の規模が見えないのがちょいと気になりますが、まあ多分そんなに大きな金額にはならないかと。


国内普通社債(SB)はデフォルト(債務不履行)になるため、SBには回収率を想定した気配が示されているほか、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)においてもリスクを回避するプロテクションの買い需要を反映してプレミアムは高水準で推移していた。クレジットマーケットは法的整理を織り込んで動いていた。


世の中、回収率が40~50%ぐらいで見てるはずなんですが、巷の噂では20%台だとか。直前に一生懸命社債買いあさってたところは儲けが出るんですかね。


債権放棄、100%減資によって金融機関などに損失が発生するだろうが、現在の金融機関の体力を考えると経営を圧迫するような問題に発展しそうにない。ただ、一部には法的整理ではなく私的整理を見込んでCDSを取引していたところもあり、相応の損失が出る可能性があるとみている。


前段は合意。こんだけゴダゴダが続いたので、引当ちゃんと積んでるでしょうし、まあ痛い事にゃ変わり無いですが、共倒れになるような事態は無いかと。

後半はCDSの中身をしらないと難しいと思うのでちょっと補足。

クレジットデリバティブってのは、参照先の企業がコケた時の保険なのですが、「コケた」の定義(=クレジットイベント)が3パターンあります。これらの3つのどれかに当てはまれば、「コケた」とみなされるわけです。
手許の愛用書「クレジットデリバティブのすべて」によれば、

1. Bankruptcy:破産
  破産だけじゃなく、会社更生法と民事再生法の適用もこの事象に当てはまります。JALのケースはここに入ります。公的管理となった場合もこのイベントになるらしいのですが、そのケースは知る限りでは無いような気がします。

2. Failure to pay: 債務不履行
  お金返せなくなった場合ですね。手形が落ちなくて、銀行取引停止処分になるケースです。ただ、CDSの保証先になるような会社は、それまでに法的整理になってしまうので、このパターンにハマるケースは日本では少ないかと。
アイフルの場合、格下げを食らって債務不履行になったはずなんですが、「不履行になった情報」がニュース記事だったり、当局への提出書類等の公開情報から取れないのでこれがトリガーにはならんかったんですね。

3.Restructuring: リストラクチャリング
  私的整理みたいに、金利減免やら元本減額やら繰延やらを食らったケースです。アイフルはADR申請後、減免措置を受けてるんですが、これも公開情報がある無いで未だにゴダゴダしています。

アイフルのケースについては、Bloombergのサイトが詳しいのでそちらをご参照あれ。

で、長々と書きましたが、ざっくり言うと1のケースが公的整理、3のケースが私的整理に当てはまるわけです。これら3つのクレジットイベントをトリガーとするCDSを3CE(3 Credit Events)と呼ぶのですが、普通はこの3CEが主流です。ところが、リストラクチャリングだけをイベントから取り除いた2CEという種類のCDSも存在します。

JALの3CEは、去年ぐらいから確実にイベントにヒットしそうだったので、プロテクションの売りはものすごいリスクだったのですが、2CEのプロテクションを売ってしまえば、ごっつ高い保険料が手に入る上に、私的整理になればイベントに引っかからない可能性もある。労組があんだけゴネてたこともあり、私的整理になる可能性が結構あったので、2CEの方に掛けたディーラーも居たんでしょうね。今頃ライフは0になってるでしょうが。

これからISDAでイベントの認定だったり、参照債務の引渡だったりの議論が始まるので、バックオフィスは頭を抱えてそうです。社債が700億ぽっちじゃ引渡の対象となる債権が無い可能性もあるので、現物決済になるのかな。


JAL更生法適用で燃油先物取引相手に300億円損失も

燃料スワップの解約コストですな。うむ。締結先はほとんど邦銀だろうはずなので、タスクフォースの議論の時に、ある程度対応方針について事前合意がなされている・・・・はずですけどね。



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No title

ども、紹介いただけて嬉しいです。
それにしても結構突っ込んだ記事を書かれますね。
これはその道を深く知りたい人には重宝されそうです。。。

Re: No title

> ども、紹介いただけて嬉しいです。
> それにしても結構突っ込んだ記事を書かれますね。
> これはその道を深く知りたい人には重宝されそうです。。。

すいませんご返答おそくなりました。コメントありがとうございます。
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