スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

各国の女性取締役比率について

久々コーポレート・ガバナンスのお話。

ボードメンバー(取締役会)の男女構成を、各国別に並べた資料を見つけたので掲示してみる。この資料の16ページ

1.jpg

まず、このグラフを見て言えるのは、日本含めアジア諸国は、Laggards(もっとも保守的な層)にも入らない程、割合が少ないという事。Fortune 500に限れば、中国やインドが5%、日本はたった1.4%という状態である。

次に言えるのは、ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの3国が高い割合を示している事。北欧諸国は、人口が東京都より少ないという特性から(ノルウェー480万、スウェーデン925万、フィンランド530万)、労働力確保のために、女性の労働環境を整えながら上手くワークシェアリングやってきた経緯がある。結婚して子供が出来ても働き続け、その中でも優秀な人が経営者になるルートが既に出来上がっていたのだ。経営者比率の2004年の数字を見ても3国とも10%を超えている。特にノルウェーが突出しているが、これは2006年に制定された、上場起業は取締役の4割は女性であることを義務付ける法律のためで、達成出来なければ上場廃止になるというエゲツない罰則も待っている。

とは言え、さすがに北欧だけの話であれば単なる事例紹介で終わるわけだが、この流れが他のヨーロッパ諸国にも波及しつつあるのは個人的な驚きだ。ノルウェーの動きにインスパイアされてしまったフランスでは、今年1月、CAC40の上場企業が女性取締役の比率を最低3年以内に20%、5年以内に40%まで引き上げる事を義務付ける法律が国民議会(下院)を通った。与党に賛同者が多く、このまま上院もさらっと通る事が見込まれている。

ケニア(何故?)のサイトだと、ドイツ・イギリス・ベルギー・スウェーデンでも同様の動きがあるとか。

取締役会の男女比率を縛ることについてはYesともNoとも言えない。日本の場合、男は家庭など省みず四六時中働くもんだ的な雰囲気があって、どうしても仕事と家庭を両立しなきゃいけない女性は不利なのも確かで、強制的にポジションを作るのはいい機会かもしれない。が、そもそも優秀な女性は起業して自ら経営者になってるケースも多く、例え会社の中に居ても重役級のポジションをこなしてる事も確か。
それより、比率だけにこだわり過ぎて、実務を何にも知らないビジネススクール出たばっかの奴が外からやってきて取締役になり、人に偉そうに重労働課しながら自分は定時帰りで高給取り♪みたいな時代が来たら、それこそ悲劇である。断じて言っておくが、これは実話では無い。繰り返す、実話では無い・・・

ここで書きたいのは、やる/やらないの是非ではなく、もし将来的に採用されるのであれば、今から準備しとかないとマズイという事。

今はまだいい。北欧の国の個別事情で片付けられるから。でも、これが5年10年掛けて全世界的な潮流になった時に、こういうセンシティブなテーマって、世界的に展開している企業が先行して影響を食らう事になる。そうじゃなくても、周りの国が徐々に似たルールを適用し始めれば、それなりの法律を作んなきゃダメになるかもしれない。でも、いざ法律ができて、数年の移行期間の後に女性取締役を一定割合確保することになると、人選で物凄い苦労をするハメになる。

日本の内閣府のデータを見る限りでは、7割近い女性労働率を誇るノルウェーですら、法が施行された時は、さすがに取締役になれるレベルの人が中々見つからず、国内争奪戦が激化し、果ては海外から人を引っ張ってくるという事をやっている。EMBA(経営者向けビジネススクール)的なものも流行ってて、会社からの補助で行く事も多い。社外取締役として数社掛け持ちしているケースも珍しくない。

日本の場合、文化の壁、言葉の壁が大きすぎて、国内で適任が居ないから海外で、という選択肢は極めて難しい。というかムリ。制度ができてから、急いで人を育てようとしても間に合わない。お飾り取締役ポジションを用意して、適当にお茶を濁すのがせいぜい。それこそ下で振り回される人間が悲劇である。ちゃんと経営判断できるレベルの人材を作るためには、マネジメントスキルを鍛えるようなポジションに前々から据えてなきゃいかん話。

とはいえ、あんまり極端にやりすぎて、気持ちだけカツマーで中身スッカラカンみたいなのが大量生産されてもなーという懸念もあり(無論男もそうだが)、ビジネススクールで見かけるようなガツガツ出世を目論む肉食系女子が日本にそんなに居るのかという疑問もあり。日本の企業の場合、取締役の比率云々より、経営陣まで上り詰める女性のモデルケースがあまりに少ないので、まずはその事例づくりから始めて、徐々に社内の意識啓発をせにゃならんのでしょうが。
スポンサーサイト

ドイツのコーポレート・ガバナンス

Twitterでコーポレート・ガバナンス絡みでドイツの話を見かけるようになったので、ドイツのコーポレートガバナンスの現状について筆を取ってみる事に。一月初旬、ドイツに出掛けてFU(Freie Uni)でGeorg Schreyögg教授にお話を伺ってた内容を纏めてみます。

なぜドイツか着目されるのかというと、他のアングロ-アメリカ系のコーポレート・ガバナンスとは違い、労働組合の力が非常に強いんですね。ガバナンスの違いを国際比較しようとすると、日本と併せてクローズアップされることも多く、ガバナンスマニア(?)にはたまりません。

Aufsichtsratと呼ばれる監査役会(Supervisory Board)が、Vorstandと呼ばれる取締役会(英:Executive board)の監督権限を持っています。そして、その監査役会への労組代表の参加が、Mitbestimmungsgesetz (共同決定法、とでも訳すのでしょうか、英:co-determination)というので規定され、従業員2,000人以上の会社については、監査役会の50%以上を占めるよう規定されています。労働者保護に重点を置いているんですね。

この監査役会・取締役会という切り分けは、2-tier systemとも呼ばれるもので、取締役会が監査役会に報告をし、監査役会が承認をします。日本の監査役も制度も2層だと言えばそうなのですが、監督権限だけの日本に比べると、ずっと監査役会の力が強いです。Models of Corporate Governanceによれば、取締役が日々の意思決定の権限を持つのに対し、監査役は取締役の選任権限、財務諸表の承認、大規模な資本支出、M&A及び配当への意思決定権限を持ちます。日本同様取締役による監査役の兼務は禁止されています。ちなみに、2層になってる国は他にもデンマーク、オランダ、フィンランド、スウェーデン、オーストリア等だそうで。

手許資料では、鉄鋼業・炭鉱では株主:労働者の割合が 50%:50%、一般的なドイツの大企業では50%:50%に加えて、監査会のchairman(代表監査役?)は票が割れたとき(deadlock)の為に、double voteという、最終決定権を持ちます。とはいえ、伝家の宝刀のようなもので、普通はその前にコンセンサスを取るのが普通らしいですが。中小企業ですと、この割合はもっと増えて、2/3を占めるようになります。

さて、こんだけ強力な労働者組合が監査役会に居れば、さぞかし取締役会はやり辛いだろう・・・という推測ができるのですが、実態は逆で、ただ単に取締役会の内容を批准するだけというところが多いそうで。ただ、M&Aとかの時には、結構従業員の反発を食らうそうなので、株主が納得すりゃいいというものではありません。

なぜ、労働者組合がこんな力を持つのか?を教授に聞いてみたのですが、「社会民主主義から派生した、何となく当たり前の考え方としてドイツに定着してるから」とのこと。そんなもんなんですね。とはいえ、国際化の波を受けて、ドイツでもアングロアメリカ的なガバナンス体制に変わろうとしているらしいです。

今、民主党がドイツ型の監査制度を導入しようとしてますが、ドイツのような歴史的な地盤が無い国で、どこまで機能するか議論はされてるんですかね。ドイツですら形骸化してるものを、御用組合の多い日本で導入してどこまで実効性あるのやらという気がします。

公開会社法、11年立法化 監査役に従業員、経済界は反発も(日経)

さて、話をドイツに戻しましょう。監査役会の選任ですが、ここで選ばれる監査役には創業者一族・銀行といった人達が入ってきます。歴史的に間接金融主導だったこともあり、銀行の占める割合が大きいんですね。日本のように銀行の5%ルール、持ち合い株制限が無いため、例えばドイツ銀行が12.5%もダイムラーの株を持ってたりします。なぜ間接金融が強いかというと、第二次大戦以降、銀行が経営権を担保に金を貸してたのが理由なんですね。確実なお財布でもあり、長期的展望を持った投資家でもあると考えられているため、安定株主として今でも重宝されています。その他、企業間の株の持ち合いもしたもんだから、もう大変。一般投資家のプレゼンスがかなり低くなり、意見が通らなくなっています。このごちゃごちゃした株主構成のせいで、会社は誰が動かしているか?が曖昧になっているのが現状で、ドイツではそれが研究テーマになる程だそうです。

教授の研究では、ドイツの大企業を4つに分け、それぞれ「オーナー会社」「大株主の管理する会社」「少数株主の持ち合い「独立した少数株主の会社」と分類したところ、およそ35%が株主の強い会社。64%が経営陣が強い会社という分類になったそうで。とはいえ、収益上はどちらが強かろうが特に差が無かったらしいのですが。

中々面白そうな話なので、各国のコーポレートガバナンスの違いについて継続調査中です。何かフィードバックできることがあればまたブログに書きます。

続きを読む

プロフィール

Financial IT Engineer

Author:Financial IT Engineer
米国シカゴ郊外在住の金融系元IT屋によるブログ。金融業界での勤務経験を元に、世の中に流れるニッチなニュースを、できるだけ噛み砕いて解説する事をコンセプトとしたブログ。
Mail: financial.it.jp @ gmail.com

カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
最新記事
最新コメント
検索フォーム
月別アーカイブ
カテゴリ
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

RSSリンクの表示
あれこれ
当ページの内容は、作者(FinancialITjp)の個人的見解で、所属する如何なる団体の見解とも異なります。ソースはできるだけ付記しますが、推測の範囲を出ないものもあり、内容の正確性は保証できません。尚、当ページはリンクフリーです。
    follow me on Twitter
    アクセスランキング
    [ジャンルランキング]
    政治・経済
    631位
    アクセスランキングを見る>>

    [サブジャンルランキング]
    経済分析
    50位
    アクセスランキングを見る>>
    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。