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AIGの公的資金

ちょっと別に書いたものを転載。去年3月頃のもんです。

-AIG関連のまとめ-

まずは産経新聞から。AIGに投入された850億ドルのうち、ゴールドマン・サックス(アメリカ)とドイツ銀行(ドイツ)とソシエテ・ジェネラル(フランス)に120-130億ドルずつ投入されたってお話。これだけ見てると、アメリカの税金で他の国の金融機関を救っちゃったみたいに見えて、国民感情を逆撫でするネタになりそうな気がする。が、契約上払わなきゃいけない部分と、限りなく黒に近いグレーな部分がある、というのがはしくれ金融家としての考え。日本だといい文章が無いので、こっから英語ドキュメントの引用。
AIG’s press release shows the government funneled over $50 billion through AIG to domestic and foreign banks to make these counterparty CDS holders whole on the value of their underlying CDOs. The largest recipient was Goldman Sachs (GS) at approximately $13 billion, followed by Societe Generale, Deutsche Bank (DB), and Barclays Bank (BCS)

500億ドルのうち、ゴールドマンサックスとソシエテジェネラルとドイツ銀行とバークレイズに流れたとあるんだけど、AIGからちゃんとプレスリリース出てたのね。。。
American International Group, Inc. (AIG) recognizes the importance of upholding a high degree of transparency with respect to the use of public funds. As a result, after close consultation with the Federal Reserve, AIG is disclosing information identifying certain credit default swap counterparties, municipal counterparties and securities lending counterparties. Before disclosing this information, AIG consulted with the Federal Reserve about the potential public benefit of counterparty disclosure and the potential that such disclosure would cause competitive harm to AIG or its counterparties.

AIGは、世界中から批判の的でフルボッコなので、公的資金を投入してもらった手前、資金の使い道について報告をしようと思いますという文面なんだけど、FRB(中央銀行)とちゃんと相談したんだからねっ、と大事なことなので2回言っています。公表された先からクレーム来ても、国民からクレーム来ても、FRBのせいだかんね、と言わんばかりの責任回避に見えますなぁ。細かい話は、プレスリリースから拾うより、別添のパワポ資料のほうが詳しい。ただ、数値を発表することにこだわり過ぎてて、中身の説明が殆ど無いので、外部資料から起こってることを類推してみた。


  1. Collateral Postings Under AIGFP CDS:180億ドル

  2. Maiden Lane III Payments to AIGFP CDS Counterparties:250億ドル

  3. Payments Under Guaranteed Investment Agreements:95億ドル

  4. Payments to AIG Securities Lending Counterparties:437億ドル



ま、運転資金じゃなくて、普通に支払いだけでこんだけキャッシュが飛んでったら、そらいくらあってもお金無いわな。

1は何かというと、CDS(Credit Default Swap)という会社潰れたら払っちゃうよ保険。例えばGMが潰れたら10億円払います的なイメージでおk。ただ、保険を買った人はいくら10億払うと言われても、引き受けたAIGが、払う前に夜逃げしちゃうかもしれないので、借金のカタ(普通は米国債とか)を要求するわけ。とはいえ、10億丸々カタを取るんじゃなくて、今の保険の価値(=10億*払われる確率)分を担保として要求する。専門用語でCSA(Credit Support Annex)と言う。
要はアメリカの会社が軒並み潰れる確率が上がっちゃったので、追加の担保よこせやゴルァっていう要求に応えるべく、公的資金が使われたんですな。別に相手方が意地悪してるわけではなく、市場慣行で決められたルールなので、要求せにゃしゃーないのです。でも、これからバンバン参照先の会社が出てきたら追加の金が要るんだけど、足りるんだろうか。。

2.はCDOっていう、1.のCDSを、安全なのも危険なのもテキトーにブレンドして作った商品を買い取るための資金。混ぜたら危険なのは硫化水素事件でも明らかなのに、ごっちゃまぜにしてその商品がオイシイのか、それとも毒だらけなのか判断力の無い投資家には分からない状態にして売った商品。格付け会社が「買って大丈夫!」と言えば、右へ倣えで買えちゃう。でも、第三者機関がいくら大丈夫と言っても危ないことには変わり無いので、賢い投資家はリスク低減のために、ヘッジしろと言った訳で、それを引き受けたのがAIG。

で、サブプライム危機のおかげでCDOは価値が暴落。下がれば下がる程AIGは保険支払分が高くなって払えなくなるので、下がりきる前に買い上げちまえというのが、Maiden Lane IIIというプログラム。このスキームの説明はBusiness Weekが一番詳しい。元の43%の価値でこのプログラムが買い取り、それに加えてAIGが250億ドル分の保険を払ったと書いてある。でも、メリルリンチってアメリカの証券会社が全部損切りした時には、元の22%の価値しかなかったって書いてあるから、相当高値で買い取ってるわけで。これは絶対得している奴が居ると思うわけ。

3. 金額的には、大したことないように見えるんだけど(それでも9500億円!)、GIA(Guaranteed Investment Agreements)ですな。このサイトが詳しいかな。州やら政府機関やら大学やらが自分達の資金を運用する時に、穴開けちゃう(損しちゃう)と大目玉食らうので、確定した収益が貰えるように保険を掛けるわけ。AIGとしては、元々の債券から発生する収益と、州に払う分の差額が儲けになるわけだ。元々の債券が安全であればあるほど、AIGは絶対儲かるという確信があるわけ。州としては、多少中身が良くわからないゲテモノ債券を食べたとしても、食中毒の補填分があるから安心して買えるわけだ。
ところが、それらの価値が急落しちゃって、差額の補填分がものすごい負担になったのが今の現状。多分、モーゲージ関係とか、CDOまじってるとか、ロクな債券じゃないんだろうな。。。しかもターム(期間)の長い債券だろうから、あと20年ぐらい払い続けなきゃいけないような気がする。でも、AIG潰しちゃうと州政府が倒産しかね無いので、オバマは救わなきゃいけない。頭痛いだろーな。。。

4. Bloombergの説明が一番わかりやすそうなSecurity Lendingの話。日本でいう債券貸借(レポ)。債券貸してあげる代わりに、現金を借りる(厳密言うと、担保に取る)って仕組みですな。で、現金が担保代わりなので、債券の価値が上がれば債券貸した側が金寄こせやと言えるし、下がれば債券借りた側が金返せと言える。まあ専門用語で言えばマージンコール。

で、詳しいことは書いてないのだけど、多分AIGの場合には、貸した債券の価値が暴落しちゃったので、金返せと言われまくっていると思われる。手元に債券無い奴が、これから値段が下がると思った場合に債券を借りてくる。そいつらが強烈に市場で売り込んじゃうと、値段は暴落する。で、暴落してから買い戻したら、差額がそいつの儲けになる。多分、これで大儲けした奴がAIGの資料一覧に乗ってると思われる。AIGとしては、そこまで債券価格が値崩れしないと思って貸してたんだろうけど、それが大間違いだったわけで、そのチョンボをアメリカが補填しているように思う。

正直、真面目に読めば読むほど、追加の金がAIGには必要で、 米政府に取ってはひっじょーに頭の痛い話になりそう。かといって、ここを潰すと州にも国民にも企業にも多大なインパクトがあるので、そうやすやすと整理できない。こうなると、ボーナスの話でぎゃーぎゃー騒いでいるのが、実は巧妙なカモフラージュに思えてきませんか?
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米国シカゴ郊外在住の金融系元IT屋によるブログ。金融業界での勤務経験を元に、世の中に流れるニッチなニュースを、できるだけ噛み砕いて解説する事をコンセプトとしたブログ。
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