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CDSスプレッドをデフォルト確率から読み解く

最近巷を騒がすギリシャの件。ヤバイヤバイと言われつつ、先週のG7でもあんまり具体的な策が出てこなかったので、状況も改善せぬままグダグダな状況が続いております。とは言え、どこかの財務相が「国債残高、金メダル級」とか、「『ギリシャ』という名前が議論されたが、それがジャパンという名前でなくてよかった」とか、ちょっと見識を疑うような発言を連発しているせいか、日本のCDSスプレッドも80bpを超え、いよいよ100bpのボーダーが見えてきました。

さて、原点に立ち返ってみましょうか。CDSスプレッドとは何でしょうか。CDSそのものは一種の保険で、とある企業がデフォルト(倒産)した時に、保険金を受け取れるというイメージです。で、そのための保険料がCDSスプレッド。実際にはCDSと保険で色々と違いはありますが、その辺りはいずれ機会があれば触れる方向で。この保険料は、元本に対するパーセンテージで取引されるのですが、数字が小さいので、bp(ベーシスポイント、0.01%)という単位を使います。100bp = 1%です。そして、企業ではなく、国の債券を対象としたものをソブリンCDSと呼びます。

さて、売り手と買い手の取引が成立するためには、「(ある時点までの)保険料の合計」 と、「支払われる保険金の予想額」が一致している必要があります。
支払われる保険金の予想額」というのは、 保険金×(ある期間までにデフォルトする確率)で表されます。つまり、CDSスプレッドが分かれば、そこから市場が予想しているデフォルト確率が計算できるということなんですね。

実際の計算方法については、Hull先生のHP(英語)にありますが、ちょっと読むのに知識が居るので、興味ある方だけご参照下さい。

さて、ここから各国の調査結果を書いていきたいと思います。基準は2/4(木)NY夕方17:00時点のものです。5年もの(2015年3月20日)のCDSなので、5年以内にデフォルトする確率と読んで頂いて結構です。

ギリシャ(432.7bp): 30.25%
さすが騒がれているだけあります。5年以内の財政破綻の確率が30%を超えています。確かに借金の額がハンパではなく、今年中に530億ユーロの借り換えをしなければなりません。およそ6兆6千億という天文学的な数字です。これは確かにマズイ。去年の年末には200bpだったのに、今や400bpへとスプレッドが急に跳ねています。
ギリシャのヒストリカルデータ

アメリカ(59.9bp): 5.08%
アメリカが5年以内にデフォルトする確率をアメリカ人に聞いたら、ほぼ間違いなく0%と答えるでしょう。S&Pの国債格付けで当然最高のAAAで、ガイトナーが格下げは「絶対にない」と述べるほどの自信っぷりです。ところが、市場はそんな風には見ていません。確率に直すと意外に高いんですね。これまた3倍程度跳ねております。

アメリカのヒストリカルデータ

ドイツ(48.8bp):4.19%
イギリス(103.7bp):8.57%
ドイツはギリシャに引っ張られるようにスプレッドがワイドニングしてます。イギリスも債務比率がぐんぐん上昇中なので、スプレッドが広がってます。

さて、我らが日本のケースです。

日本(83.5bp) 6.45%
高いか低いかはみなさんに判断をお任せしますが、サブプライム前はスプレッドが二桁になったのを見たことが無く、去年9月までは25bp近辺で推移してたんですね。そこからすると何倍なんでしょうという話。日本の場合、国債の発行残高が伸びているのが一番の原因なんですね。それでS&Pから格下げされて、今はAAです。

日本のヒストリカルデータ

ところが、AAの中でも微妙にスプレッドが高い。ソブリンと一般企業のスプレッドは単純比較はできませんが、S&Pのレポートで、AAの格付けのベンチマークが掲載されてたので引用してみます。これを見ると、AA格で46bp, A格で62.5bp,BBBで100bp前後ですね。ということなので、スプレッドだけに着目すれば、BBB格レベルまでの格下げを織り込まれてる感があります。

S&Pベンチマーク

ちなみに、日本のソブリンCDSスプレッドが100bpまで上昇すればデフォルト確率は7.67%, 150bpで11.29%となります。何となく10%を超えると日本倒産の現実味が増してくる気がしますね。

とは言え、ソブリンCDSのスプレッドは全体的にワイドニング(拡大)傾向にあるので、日本だけが悪いわけではありません。確かに悪化の仕方は他の国よりヒドイのですが、国債は日本の金融機関で大半を抱える仕組みになっているので、国債の価格が暴落という事態もすぐには考えにくいので、世界経済の状況が今より悪化しないのであれば、6%のデフォルト確率は非現実的だと思います。

ただ、歪んだ国債市場に比べ、CDSのマーケットでは素直に日本の財政状況が反映されています。日本の1,000兆円を超える国債残高が、スプレッド拡大の主な原因です。金融危機が再燃した場合、一気に格下げ、価格下落という事態も想定され、そうなると大量に国債買い込んでる金融機関は窮地に立たされ、国債の市中消化が出来なくなる危険性があります。そういった潜在的なリスクが今のデフォルト確率=6%に反映されているのかもしれません。

国債残高、金メダル級というのを軽く言ってしまう財務相が、どこまで現状を認識されているのか、甚だ疑問に感じる今日この頃です。
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